石井正忠監督解任理由はACL敗退にあらず;鈴木満強化部長の4つの不満点とは?

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 鹿島アントラーズが石井正忠監督を解任した波紋が広がっています。この件に関して、「ACL敗退のみで解任は厳しい。」、「怪我人が多い状況だったのは不運だ。」との反応があるようです。

 しかし、鈴木満強化部長の発言をまとめると、今回の解任理由はACL敗退だけではなく、またフロントは怪我人多発は石井監督の選手起用や調整法によるものと考えていたようです。

 今回の記事では、各メディアで報じられている解任理由をまとめてみました。
(参考記事12345)

1. リーダーシップ
 番記者の田中滋氏によると、鈴木強化部長は「強いリーダーシップを石井監督に求めた」そうです。しかし、石井監督は自主性を重んじ、リーダーシップを発揮するタイプではなかったとのこと。

 どちらが良い悪いではありませんが、結果としてチーム像が明確になりませんでした。今の鹿島の監督としては「ストレートな物言いができる」大岩剛コーチの方がふさわしいと判断されました。具体性を持った指導やアプローチが期待されています。

2. 新戦力の融合
 今季の鹿島は、かなりの大型補強を行いました。

FWペドロ・ジュニオール 年俸1億1000万円
MFレオ・シルバ 年俸1億1000万円
GKクォン・スンテ 年俸6000万円
MFレアンドロ 年俸3800万円
FW金森健志 年俸1500万円
DF三竿雄斗 年俸1000万円
※年俸は全てサッカーダイジェスト推定

 このうち主力に定着したのはレオ・シルバとクォン・スンテの2人のみ。さらにレオ・シルバは怪我で戦線を離脱しています。

 鈴木強化部長としては、「新戦力のポテンシャルを発揮できず、上手くクラブに融合できていない」と考えています。大岩剛コーチは昨年の監督代行時に右サイドバックの西大伍を右サイドハーフとして起用するなど柔軟な采配を見せました。強化部長としては大岩コーチの方が新戦力を活かしやすいと判断しています。
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3. 選手起用
 選手起用に関しても、鈴木強化部長の不満は強かったようです。実はACL敗退よりも早い5月14日の段階で、メディアを通して異例とも言える監督采配批判をしたことがあります。

鹿島首位陥落…レオ・シルバ左膝負傷で松葉づえ姿に(日刊スポーツ)

(レオ・シルバが大怪我を負ったが、)ムアントン戦と神戸戦を、ダブルでマネジメントしないといけなかった。休ませていない選手が、頑張りすぎたつけが回ってきた

 説明すると、

5/10 ACL・ムアントン戦
消化試合。ACL決勝トーナメント進出決定済み。勝つと海外移動付きの広州恒大戦、引き分け以下なら国内移動のみの川崎戦。
  ↓中3日
5/14 J1・神戸戦

という連戦がありました。

 この際、なぜか勝っても損しか無いムアントン戦に連戦続きで疲弊している主力選手を投入した上、選手交代は88分にようやく一人だけ。そして、3日後の神戸戦で無理がたたってMF遠藤康、MFレオ・シルバが次々に大怪我。結果として、怪我人のエースFW金崎夢生も60分程度出場する羽目になったあげく1-2で神戸に敗れました。しかも、試合後には今季に入ってから休みを1秒ももらえなかったDF植田直通も戦線離脱。

 下図は神戸戦終了時点での鹿島怪我人リストです。詳細はこちらの記事を見ていただきたいのですが、出場時間が8割を超えるほど酷使されている選手たちが次々に怪我をしているのが分かります。消化試合ですら彼らに無理をさせた選手起用は不可解なものでした。

 この謎の選手起用に対して鈴木強化部長はメディア上で監督批判を公言したわけですね。これはかなり重い発言であるだけに、次の連戦での石井監督の選手起用が注目されました。しかし、ここでも鈴木強化部長をいらつかせたであろう采配が飛び出しました。

5/19 J1・川崎戦
  ↓中3日・海外移動有り
5/23 ACL・広州恒大戦

 ムアントン戦に全力投入して勝利した結果、ACL決勝トーナメント1回戦で海外移動込みの広州恒大戦に挑むことになった鹿島。さすがに両方の試合で主力を全力投入するのは不可能です。

 結果、川崎戦では怪我のMF遠藤康、MFレオ・シルバ、DF植田直通に加えて、連戦続きでパフォーマンスが低下していたMF土居聖真、怪我が治りきらないFW金崎夢生も先発を回避しました。

 もちろん、強豪の川崎相手に主力5人抜けての勝利は難しいです。前半終了時点で0-2でのリードを許しました。とはいえ、ACLの広州恒大戦に標準を合わせるならば川崎戦の敗戦も仕方はないところ。土居と金崎を休ませることがこの日の最優先課題です。

 しかし、何故か石井監督は敗色濃厚となった後半開始時点で土居聖真を投入。さらに0-3となった後半17分にコンディション不良の金崎夢生まで投入しました。「主力が3人怪我で休養中」&「すでに3点差」&「相手は全力でも苦戦する強豪・川崎」という状況で、ムキになって金崎を投入する意味は全くの不明でした。

 そこまでムキになるのなら土居&金崎を川崎戦で最初からスタメンに入れて勝負に出て広州戦のプライオリティを下げるべきですし、広州戦に標準をしぼったなら予定通りに土居&金崎はなるべく休ませるべきです。場当たり的な采配は鈴木強化部長の意向にはそぐわなかったのでしょう。

 結局、川崎戦はそのまま敗戦。そして無駄に疲れた金崎夢生は怪我が治らずに大事な広州恒大戦2nd legで先発回避。また、川崎戦でフル出場したDF西大伍は怪我で広州戦1st legに出場できずという事態となりました。




4. 調整方法
 石井監督とフロントの間で「選手の調整方法をめぐってズレがあった」ことも報道されています。鈴木強化部長としては、体力強化などの練習方法がおかしいとの判断でした。先程も書いたように今季の怪我人の多さは異常でした。

 連戦に出突っ張りで疲労の溜まっているスタメンと、試合に出ていない若手選手が同じような調整をしているので、スタメンは疲れて怪我を連発する上、若手は練習にならず成長できない、と指摘されていました。オリベイラ監督時代との違いを指摘する声もありました↓

 なので、「怪我人が多いのに解任は厳しい」という声は勘違いで、実際には「無駄に選手を怪我させているとの判断で解任になった」ということです。誰かの選手生命が絶たれるような事故が起きてからでは遅いですからね。

 以上4点が現時点でわかる解任の理由です。ただ、それにしても思い切ったタイミングでの解任だと感じます。シーズン中の監督交代自体が難しいうえに、「コーチの内部昇格のみで体制を一新できるのか」、「監督経験のない大岩剛コーチにいきなりの結果を求められるのか」という懸念が有ります。また、石井監督はリーグ&ACLの連戦では弱みを見せましたが、リーグ戦専念時の強さはトップクラスなので、ACL敗退のおかげでリーグ戦がここから上向く可能性は十分あったと思います。(参考記事:石井正忠監督歴代2位;歴代J1監督平均勝点ランキング)

 この解任撃が吉と出るか凶と出るかはよく見守っていかねばならないでしょう。

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