大前元紀0円移籍!中田浩二の事例と比較;甘やかした清水と毅然とした鹿島

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 清水エスパルスの主力FWである大前元紀が、大宮アルディージャに移籍することが発表されました。今オフは大物の移籍が多いのですが、その中でも大前の移籍はある意味で特別に大きな衝撃を与えています。まずは、清水サポーターの反応をご覧ください。


 今回のポイントは、かつて移籍金を残さずに海外へ移籍した大前に対して、移籍先で出場機会がなく困っている状況を見て、わざわざ清水が移籍金を払って買い戻した、というエピソードがあったこと。つまり、単純に考えれば清水は大前を助けるために本来ならば不必要なはずの大金を払ってあげた、という一種の恩を売っていたのです が、その大前はまたも0円移籍で、しかも同カテゴリーのライバルクラブに移籍してしまったわけです。

 もちろん、大前の行動はルール上は全く問題ありません。ただ、ルールに反しなければ何をしても良いのかというと、人によって感じ方が変わります。例えば、横浜Fマリノスが中澤佑二に対して大幅な年俸ダウンを提示した際、これは全くルール違反ではありませんが、世論は功労者の中澤に同情的で横浜フロントを批判する声が多く上がりました。このように、クラブ側の選手に対する義理を求めるという日本人的な考え方がある以上、選手側のクラブに対する義理を求める声が上がるのも当然でしょう。やはり清水サポとしては納得しにくい思いがあるはずです。

 では、大前の一連の移籍において、清水側はどのような行動を取るべきだったのでし ょうか?これを検証するため、大前と同様にかつて0円移籍で海外に去った後に出身元のクラブへと復帰を果たした中田浩二と鹿島との事例を、大前と比較していきます。

1. 海外移籍までの経過
大前:高卒5年間で83試合24得点の実績を残し、清水のエースに。ドイツ・デュッセルドルフへ0円移籍。
中田:高卒7年間で144試合27得点の実績を残し、鹿島・日本代表の主力に。フランス・マルセイユへ0円移籍。

 ここまでは似たような感じです。むしろ、日本代表にまで登り詰めながら契約延長の打診を断り続けた中田の方がクラブと仲違いして出ていった印象でした。

2. 海外での経過
大前:移籍先で出場機会を失い、移籍翌年に古巣・清水への復帰を模索。
中田:移籍先で出場機会を失い、移籍翌年に古巣・鹿島への復帰を模索。

 ここは全く一緒です。

3. 古巣側の対応
清水:クラブの戦力事情が苦しいこともあり、多額の移籍金をドイツ側に支払って大前が復帰。
鹿島:クラブの戦力事情は苦しかったが、「移籍金0円なら引き取っても良い。」と全面拒絶。

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 ここで両クラブは真逆の対応を取りました。一見すると、清水の方が優しい印象を受けます。

4. その後の活躍
大前:清水の主力FWに再定着。しかし、クラブをJ2に落としてしまう。翌年にJ1復帰に貢献。
中田:スイス・バーゼルに移籍して活躍。その後代理人と契約を解消して、バーゼルの慰留を断り「鹿島に骨をうずめる」として0円で鹿島に復帰。復帰後の鹿島ではリーグ優勝2回、天皇杯優勝2回、ナビスコ杯優勝2回。

 冷たくあたったように見えた鹿島に、中田が自ら復帰。ちなみに、中田は海外在籍中、罪滅ぼしとしてカシマスタジアムの年間シート200万円分をポケットマネーで毎年購入していた。復帰後の実績も中田が圧倒。

5. クラブとの別れ
大前:清水の慰留を断り、再びの0円移籍で大宮へ。
中田:「鹿島は僕のすべて、ここで現役を終えることを選んだ。」として鹿島で引退。引退後は鹿島のスタッフに。

 最後まで鹿島に恩義を立てた中田に対して、大前は真逆の対応。

 こうして見ると、移籍金を払って買い戻した清水の対応が甘すぎたのかなぁと感じます。あまりに簡単に許されたので、逆に大前は清水への恩義を特に感じなかったのではないでしょうか。

 一方、毅然とした対応を取った鹿島は、最終的に中田とハッピーエンド。引退後も蜜月の関係が続いています。さらに、その後に内田篤人、大迫勇也という主力の海外移籍もありましたが、内田は「鹿島にきちんとした移籍金を残す」こと を重視して鹿島との契約書に海外移籍時の移籍金に関する内容を盛り込みましたし、大迫は「最後は鹿島に帰って引退したい。」と明言しています。海外移籍を視野に入れる柴崎岳もすでに契約延長済みなので、もし移籍しても鹿島にお金を残すことになります。

 鹿島はファミリーとして選手を非常に大事にするクラブですが、必要なときには甘やかさずに毅然とした対応を取ることが出来ました。それゆえに、以降の海外移籍ではお互いにハッピーな形になっているのでしょう。

 なお、大前は今回の移籍で今年の年俸は上がるのでしょうが、古巣を捨てた以上は中田のように将来のクラブスタッフ入りの道は絶望的です。また、移籍先の大宮で活躍できなければいつ戦力外にされても文句を言え ませんから、今後は傭兵のようにプレーしていくことになると思います。生涯収入が増えるのか減るのかは微妙なところです。今回の移籍が大前本人にとって成功だったのか失敗だったのかについては、大前が自身のプレー振りで証明していかねばなりません。果たして大前が新天地・大宮で得点王クラスの活躍を示して周囲を納得させられるのか注目です。

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