中村俊輔が磐田で活躍できる5つの理由をデータで解説!

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 横浜Fマリノスのレジェンドである元日本代表MF中村俊輔が、ジュビロ磐田への移籍を決めました。今オフ最大の衝撃と言えるでしょう。

 さて、ここで気になるのは中村俊輔はジュビロ磐田で活躍できるのかということ。中村は今でもトップクラスのテクニックを誇りますが、もともとフィジカルが強いタイプではありませんし、38歳という年齢に伴う運動量・稼働率の低下も気がかり。そもそもトップ下というポジションを採用しないクラブが増えてきていることからも分かるように、現代サッカーにおいてファンタジスタが輝くには周囲の協力が不可欠です。果たして磐田にその条件はそろっているのか、データを交えて検証してみました。

Q1. トップ下が攻撃に専念できる環境なのか?
A1. 守備しない小林祐希(現SCヘーレンフェーン)を支えた実績があります。

 昨シーズン、ジュビロ磐田は1st stageでは8位と健闘しましたが、2nd stageで14位と低迷。残留争いに巻き込まれました。この原因は、1st stageでチームの中心としてトップ下でプレーしていた日本代表MF小林祐希が、オランダへと移籍したこと。

 そして、その小林は攻撃面で輝きを放つ一方で、守備はそれほど頑張っていなかった選手。日本代表監督のハリルホジッチからも守備面に関して苦言を呈されていました。

 実際、小林と中村の両選手について、プレー時間90分当たりのタックル成功数、インターセプト成功数、こぼれ球奪取数を比較すると、以下のようになります。
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 このように、小林の守備への直接的な貢献度は中村以下だったんですよね。それでも磐田が破たんを起こさなかったのは、はっきりと割り切って小林は攻撃重視、2ボランチは守備重視という分業体制を取ったから。最近は2ボランチのうち1人は攻撃重視の選手を入れるチームが多い(鹿島の柴崎、浦和の柏木、川崎の大島など)中、磐田はファンタジスタが攻撃に専念しやすい環境が整っています。小林の場合も守備をさぼっていたというよりは、攻撃に専念させてもらって守備は必要最小限という感じでした。新加入の元ウズベキスタン代表ボランチであるファジル・ムサエフも守備が得意と聞きますし、中村としては助かるでしょう。

Q2. 中村の稼働率の低さはどうするのか?
A2. 21歳の俊英・川辺が控えています。

 昨シーズンの中村俊輔の出場時間は1552分。怪我などの影響で全体の50.7%にしか出場できませんでした。38歳ですので、フル出場を求めるのは非現実的です。中村に休養を与えられるだけの控え選手がいなければなりません。とはいえ、実績十分の高年俸選手を中村のスペアとしてベンチに置くのは、不満の原因になりかねませんしクラブの経営を圧迫しますから、なかなか難しい問題です。

 その点、ジュビロ磐田にはちょうど良い選手がいます。21歳の俊英・川辺駿です。昨シーズンは1st stageは主にボランチで、2nd stageでは小林の抜けたトップ下でプレーしました。もともとは攻撃面で評価の高かった選手ですが、このところは守備意識が向上。詳しくはこちらの記事→(山口蛍よりもボール奪取能力が高い日本人ボランチ6人;小笠原満男、川辺駿他)をご覧いただきたいのですが、すでにボール奪取に関して日本代表MF山口蛍以上の好成績を残しています。

 ここで、中村と川辺の2選手について、90分当たりの枠内シュート数、ドリブル成功数、クロス成功数、スルーパス成功数、タックル成功数、インターセプト成功数、こぼれ球奪取数を比較すると、以下の通りです。
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 わかりやすく、攻撃の中村、守備の川辺というデータが出ています。例えば、スタメンは中村にして、リードしたら川辺に代えて逃げきりを図るというようなスタイルがやりやすいでしょう。川辺にとっても、中村は攻撃面での良い手本になると思われます。

Q3. 前線の運動量の低下はどうする?
A3. ジェイ→川又で改善の見込みです。

 38歳の中村は、今度どんどん運動量が下がることが予想されます。そうなるとFWの選手には余分に運動量が求められてきます。

 その点、昨シーズン14得点と活躍した元イングランド代表FWジェイは、90分あたり走行距離が9.03kmと少なく、中村との併用は困難でした。そのジェイは磐田を退団。代わりに補強したのが、元日本代表FW川又堅碁(前名古屋)です。川又は運動量が多いタイプで、90分あたりの走行距離は10.88km。単純に考えると、ジェイ→川又で1.85km分の走行距離が上乗せされるので、それだけ中村が楽をできるはずです。

Q4. 中村のクロスのターゲットはいるのか?
A4. Jリーグ最強選手の大井がいますし、長身の川又、ムサエフが加入します。

 中村の最大の武器は、FKを含むクロスの精度の高さ。昨シーズン、90分あたりのクロス成功数で12位にランクインしました。では、その受け手が磐田にいるのかという話ですが、良い選手が何人かいます。

 一人目が、DF大井健太郎。敵陣空中戦勝率が81.1%という圧倒的なまでの強さを誇ります。少々古い記事で恐縮ですが、こちらの敵陣空中戦勝率ランキングを見ると、2位の中町に12%もの差をつけてJ1全選手中でダントツ。大井の頭を俊輔の左足が狙うと考えると、相手クラブには脅威ですね。

 この他、身長184cmで敵陣空中戦勝率51.9%の川又(先ほどの大井の成績を見て感覚が麻痺するかもしれませんが、一般的には敵陣空中戦勝率が50%を超えるのは快挙です。例えば、空中戦の強さで有名な元日本代表FW豊田陽平の勝率は50.7%です)、身長183cmで空中戦に強いと報じられているムサエフも加入が決定。ターゲットが3人いるのは、大きな強みと言えます。

Q5. 中村に2年1億6000万円は高くないか?
A5. 磐田は背番号10が空いていたので、中村が背番号10をつけることでユニフォーム売り上げのアップが期待されます。

 中村俊輔と磐田との契約は2年1億6000万円と報じられています。昨年の年俸1億3000万円に比べれば下がったものの、単にサッカー選手としての実力だけを見れば割高感が否めません。

 ただ、その点は中村のユニフォームなどのグッズ売り上げである程度カバーできると思うんですよね。特に磐田にとってラッキーだったのは、背番号10が空いていたこと。かつては元日本代表MF藤田俊哉や山田大記らが背負ってきた歴史ある番号ですが、山田の海外移籍によって2015年以降は空いていました。中村は横浜在籍時の2014年に背番号を25→10に変更したのですが、この年の中村のユニフォーム売り上げ数は同年3月5日時点で4000枚。全体の売上中の6割近くを中村一人で占めました。ユニフォームの値段は1着当たり1万円を超えるので、磐田にとっては大きな収入が期待されます。

 加えて、同じく日本代表で背番号10を背負った名波浩監督と中村俊輔のタッグは、マスコミ向けの話題性も十分。観客動員増にもつながるでしょう。中村への高年俸のせいで他の補強ができない、という事態は避けられるはずです。

 以上、5つの理由から中村俊輔にとってジュビロ磐田は理想的なクラブだと思います。一方、これだけの条件がそろわないと中村を支えられないのも事実。そう考えると、横浜Fマリノスとしては、心情的には痛いですが、戦力的には中村放出はそこまで痛くはないかと。twitterでマリノスサポーターさんの予想布陣を見かけた(下ツイート参照)のですが、新加入のポルトガル人FWウーゴ・ヴィエイラ(昨シーズンのセルビアリーグMVP;20得点)が期待通りの活躍をすれば、十分に計算できるメンバーのように思えます(噂のジェイが本当に加入するのか、斉藤が残留を選ぶのかという流動的な部分も大きいですが)。数年後のリーグ優勝を目指すなら、中村/小林/榎本らを放出して世代交代を図ることは間違いではない印象です。

 こうして冷静に考えてみると、俊輔のマリノス退団は、中村にもマリノスにもメリットがあり、本来ならば良い移籍のはずです。しかし、中村がフロントへの不信感を語って退団に至ったのは不幸なことでした。世代交代はなかなか難しいのですが、これに関しては鹿島の過去の世代交代が参考になったのではないでしょうか。(参考記事:俊輔・闘莉王退団に思う鹿島の世代交代の上手さ;戦力外通告の秋田・セレーゾらが貫くクラブ愛)

 いずれにせよ、中村中心のチームとして生まれ変わる磐田も、大幅な世代交代を進める横浜も今年は全く違うチームに変化するでしょう。鹿島サポーター目線で見ると、昨年のリーグ戦では磐田にも横浜にも1勝1分と与しやすい印象でしたが、今年は怖くなったなと思います。

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